通信制高校の学費を比較する

児童あり平均世帯年収「696万円」のトリック


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通信制高校や、資料請求サイトで学費の説明を眺めていくと、就学支援金のサンプル例として「単位あたり4,812円」もしくは「1ヶ月9,900円」を使っていることが多いことに気付かされます。

 

これは、区市町村民税所得割、すなわち前年度の所得から区市町村に収められた額304,200円未満年収にして約590万〜910万円の世帯をモデルにしています。
>>>就学支援金 - 約9割の生徒に支給される

 

これより年収が少ない世帯では、この支援金の基準額を1.5倍2倍2.5倍にして計算してください、というわけですが、そこを見落とすと、「この額しか支援されないなら払えない」と諦める人もいるかもしれません。(´・д・`)

 

かといって、もっと支援金額が多い例を出しても、年収に応じた計算をし忘れてぬか喜びするケースも考えられます。そして、「対象外」も含めた5区分すべてを説明しようとすると、数字だらけになって、なかなか見やすいサイトが作れなかったりします。(´・_・`)

 

年収約590万〜910万円の世帯をモデルにするということが、果たして妥当なのでしょうか。
以下、データによっては年収の代わりに所得を使いますが、実情を見ていきます。

 

高校生の子を持つ親は40代から50代前半が多いと思われますので、そのあたりも注目です。なお、学校に通う子どもがいる世帯は、働き盛りの世帯主がいる場合が多く、配偶者もパートなどで家計を支えているなど、平均所得は全世帯平均よりも高くなります。

 

厚生労働省が2015年7月に発表した、2013年国民生活基礎調査の概況によると児童のいる世帯(18歳未満の未婚の人がいる世帯)の平均世帯年収696.3万円」。

 

 

世帯主が40〜49歳世帯所得金額678.5万円(所得なので収入はこれより若干多いことになります)。全世帯での平均所得は528.9万円ですが、年々減少しています。

 

(「サラリーマンの給料、年収や月収の手取り平均は?20代、30代、40代と男性は上がって見えても実はだだ下がりだった?!」参照)

 

…となりますが、これにはトリックがあります。

 

平均」という数値は、極端に小さい、あるいは極端に大きい数値ひきずられるので、必ずしも最も大勢が当てはまるとは限りません。年収数千万や億単位の人が少し含まれるだけで、平均年収は高くなります。

 

たとえば、仮に年収300万円の人が100人と年収3000万円の人が10人の世界があれば、平均年収は545万円です(=[300万円x100人]+[3000万円x10人]÷110人)。「平均的な」収入と統計上の「平均値」はかなり違ってきます。

 

年収を100万円単位で区切った世帯数を見ると、平均所得528.9万円ですが、
平均所得以下の世帯が61.2%あり、中央値が415万円であることがわかります。 (°◇´°)

 

 

また、最も分布数が多いのが200万円台の世帯で14.3%、100万円台と300万円台もほぼ同じくらいで、所得400万円未満の世帯が48.2%で約半数500万円未満の世帯も併せると、58.3%。全体の約6割です。

 

こんどは年収(所得税などを差し引く前の給与額面など)での調査をみると、年収300万円以下の被雇用者の人口割合は2013年で4割を超えています。つまり、自営業などを除けば、5人に4人は年収300万円以下となり、リストラなどで正規の再就職が難しい40代もここに含まれます。90年台初頭のバブル崩壊後には珍しいことではなくなってきています。

 

 

子どもがいる世帯は夫婦共働きで500万ずつを稼ぐと1千万の年収になりますが、民間企業の場合、女性の平均収入は全世代を通じて300万円未満なので、世帯年収が700万円を割るのはうなずけます。

 

 

税金や社会保険料が年々上昇しているので、手取りで見た場合は、もっと実感が違ってきます。

 

 

手取りの全世代の平均は、男性で416万円、女性で230万円。
40代の年収の手取り平均は約485万円。50代では約510万円。

 

ここでも明らかですが、収入等の「平均」では、それ以下の世帯数のほうが多いですね。

 

授業料など定期的に出て行く金額を考える場合には、こうした手取り額や世帯の人数を考えることが欠かせません。
(※年収と手取り額の目安はこちらを参照→平均年収.jp 年収の手取りは実際にはいくら?

 

ただし、これは民間給与の調査で、公務員の場合全世代の年収が700万円台、また、男女とも正規雇用ですので、夫婦とも公務員であれば単純計算でその倍となります。景気に応じて公務員も増減額が調整されているとはいえ、民間企業に比べると経済状況の反映が遅れていると思われます。(年金や退職金の積立、福利厚生などを考慮すると、さらに格差は大きくなります。)

 

 

経済成長期には、年功序列があり、子どもの就職も今より希望が持て、老後は年金生活に移行する人が多かったわけですが、現在は手取り収入が年々減る一方で、失業中の家族を養ったり、年金で賄えない老後資金を蓄えたりと厳しい世帯が多くなっています。

 

また、企業や経済の新陳代謝が激しくなっていますから、同じ収入レベルが定年まで続く割合も低くなり、一方で離婚も増加しているため、収入に左右される支援金も高校3〜4年の在学期間に変化する可能性があります。

 

 

当サイトでは、高校生の子をもつ世帯なら年収約590万〜910万円、というモデルを使うことに抵抗を感じたため、各ページで5区分すべての収入レベルの就学支援金の目安のテーブルを表示しています。(・∀・)b

 

子どもが親の収入を知っておくことは、経済観念を身に付けるいい機会となるものの、願わくば、他の多くの先進国同様授業料は単純に無償化を実現して、保護者の収入レベルなど関係なく、自分を活かせる高校を選ぶのが当たり前の社会にしたいものです。これはよく考慮された累進課税を適用すれば可能なはずであり、国の未来を担う次世代を左右することでもあります。

(2015.11.26)


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通信制高校の学費記載、就学支援金などについて


就学支援金や低所得世帯への奨学給付金は、大枠は全国共通ですが、 細かい規則などは自治体によって多少異なります。

詳しく知りたい方は、希望する通信制高校や都道府県庁・教育委員会で確認できます。

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